9月のシルバーウィークに山梨県立美術館に行ってきました。ここはミレーの作品を展示する美術館として有名です。ちょうどクールベの特別展もやっていたので、中学生時代にクールベの模写を描いたことのある身としては興味がありました。
建物は前川國男の設計です。昨年弘前で前川建築を巡ってから、やっと山梨に来ました。タイルを用いた設計、開口部のプロポーション、閉じているように見えながら、内部に入ると落ち着いた光に満ちる空間は、とても気持ちが良いものでした。ただ明るいとは違う、利用者の心理を汲み取った調光です。
動線が伸びやかに進む平面計画は、寸尺の箱に間を納める日本的な感覚というより、道を進みながら何かが現れる、コルビュジェ直伝の感性なのかもしれません。
展示されていたミレーの「種を蒔く人」は、雄々しくてとても素晴らしかったです。農民の力強さを感じました。
その後は武田信玄の躑躅ヶ崎館跡の武田神社へ。大きな神社ではありませんが、やはり地図で見ているだけと実際に来るとでは違いますね。甲府駅のあたりから地形が北に向かってずっと坂になっており、その上に建っていました。強固な防御施設とせずとも、ここから街を見渡し、領民との距離を縮めた程々の感覚が、甲府に経済発展を導いたのかもしれませんね。「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」。なんとなく信玄の眼差しが分かったような気がしました。