6/27にJIA本部総会があったので、上野の国立西洋美術館に行ってきました。コルビュジエが設計し世界文化遺産に登録されていることで有名ですが、実は今回の訪問が初めて。美術館前は人通りが絶えることなく、どう頑張っても人が入る写真になりましたが、それが自然ですね。皆さん気持ち良さそうでした。
開催中だった松方コレクションはとても素晴らしいものでした。と同時に、この美術館が生まれた背景を知ることができました。
神戸の川崎造船所の社長を務めた松方幸次郎氏は、第一次世界大戦中のヨーロッパで自社の船舶の売り込みに成功し巨利を得ました。それを元手にイギリスやフランス、ベルギー、オランダ、スペイン、ドイツなどを廻り、美術品を大量に購入。ヨーロッパ在住の日本人画家や各地の美術商の協力を仰ぎながら、名画の収集を進めました。その後の世界大恐慌で会社は傾き、松方氏も立て直しに奔走しましたが、第二次世界大戦でフランス政府に敵国人財産としてフランスに保管していた美術品を差し押さえられてしまいました。戦後の日本政府との返還交渉の中でフランス政府から出た条件が、返還する美術品を専門に展示する美術館の建設でした。
そのためフランスの建築家であるル・コルビュジェが設計を担当することになり、その弟子である前川國男、坂倉準三、吉阪隆正が設計監理に協力して建設されることになったのでした。財政が苦しい当時の日本を反映してか、ファサードの外壁は砂利が埋め込まれたPC版を用いており、素朴なテクスチャーを表しています。地下に潜る構成や吹き抜けも、鑑賞者の心理を考えた、よく練られた建築計画でした。
ハイサイドライトから採光を取り入れた内部の回廊や、あえて表した立柱など、サヴォワ邸を思い出すところもありました。
下の写真はモネの睡蓮。もちろん撮影用のデジタル画像ですが、こんなサービスもやってくれるんですね。設計したコルビュジェは想像もしなかったかもしれませんが、ありがたく撮影させていただきました。
しかしやっぱり国立美術館。名画が素晴らしい。胸いっぱいになり癒やされました。