今日は法政大学名誉教授で構造設計者の川口衛先生の講演会に参加してきました。
構造設計の大御所の先生ということで初めてお目にかかりましたが、難しい内容を非常にシンプルに分かりやすく整理してお話いただきました。
「構造は建築のために何ができるのか」というタイトルでしたが、もちろん構造家が建築家の下ということではなく、逆に建築空間を構成する花形はやはり構造なんだと再確認する濃~い内容。もう必死にメモを取りました。
先生が設計された1964年東京オリンピックの代々木競技場の空間構成、解析手法と問題解決に向けたアイデアを学べたことはとても貴重でした。
設計スタート時は建築設計・構造設計ともデザインや計算をせずひたすら3ヶ月くらい模型だけをつくって大空間の検討をすすめていたとか。
当時最大規模の建築空間ということで構造効率を求め最終的にテンション構造に至ったとのこと。
このあくまで効率を追うということが大空間を造る上でとても重要であり、その検討過程は今から50年前といえど本当に新鮮でした。
また、建築デザインにおけるスケール感覚についてガリレオ・ガリレイの新科学対話にある「小さな構造でうまくいったことが大きな構造でもうまくいくと考えてはいけない」という言葉を引き合いに出しお話下さいました。スパンが長いからといって相似形で部材を3倍にすると、実は応力的に3倍弱くなる。つまり同じ強度を保つためには相似形ではダメで、軽くて強い材料を用い効率の良い構造システムに変える必要があるということ。失敗例の北京の鳥の巣の解説は参考になりました。
今日は本当に勉強になりました。これから自分の建築に反映させていきたいと思います。