六本木ヒルズ52階東京シティービュー内スカイギャラリーに来ています。
海抜250メートル。目の前に遮るもののないガラス張りの空間は、外に広がる東京の静かな眺めと裏腹に、南側は凄い日差しです。汗を拭きつつ向かった先は、イギリスの建築家ノーマン・フォスターのプロジェクトを紹介する「フォスター+パートナーズ展/都市と建築のイノベーション」です。
ギャラリー内では、ヨーロッパを中心に、中近東や東アジア、北米等で積極的に活動するフォスターのエネルギッシュな軌跡の数々を、模型やパネルで展示しています。
すみません私、六本木ヒルズの上だろ~?と舐めてました。
個々のクオリティーが高く、想像を遥かに超える展示の充実ぶりです!
写真撮影OKなのも助かりました。撮りまくりです(笑)
上の写真はドイツ連邦議事堂ライヒスターク。コンペ提出案断面模型です。戦火をくぐり抜けた歴史的遺産をどう再生するか。鉄とガラスで大きく屋根をかけて包むことを提案しています。
最終的にできたのは、左奥にちょろっと見えてますが中央にガラスのドームを蘇らせたプランですが、この軽やかに自然の光で包む感覚が他の作品にも共通してあるように思いました。
各パネルを見ていて思うのですが、シンプルでとても見やすく、要点が分かりやすい。
そのプロジェクトにおいて本当に求められていることをしっかり調査し、テクノロジーの力で自然と共生する環境をデザインしている。パートナーとの協働の精度、融合性の高さが分かります。
香港上海銀行本店/建物の中のオフィスから街や空中庭園を眺めることができることを示スケッチ。
個人的には、こういったドローイングがあって非常に良かったです。大きな考え方と重要なディテール概念が同時に記されたりしていると、それだけで建築の成り立ちが分かります。
ベルリン自由大学。近代建築の再生として、大きな玉子を埋め込んだエコロジー建築。
バックミンスター・フラーとのパートナーシップをしていた影響でしょうか。宇宙船のような形状のプロジェクトがいくつか見受けられます。
そしてノーマン・フォスターといえば世界中で建設したタワーの数々。光を背に並ぶ姿は圧巻の一言。
中央の円錐形のタワー、スイス・リ本社ビル(ロンドン)はガーキンの愛称を持つロンドンを代表する建築。
ロンドンシティのブルームバーグ新欧州本社屋では、周辺の歴史的文脈に配慮し、古典的序列、比例に答えたファサードとしています。その上で魚のエラのように外気を取り込む外装としているとか。
都市のマスタープランや空港、港湾、地下鉄、高速鉄道など、様々な社会インフラをテクノロジーを背骨に美しく描き出す手腕は見事。
中でも特に私の胸を打ったのが、フランスのタルン峡谷にかけられたミヨー橋。
もう、本当に、美しい。
2.46km離れた二つの高原をつなぐ雄大なスケール。
力学的に裏打ちされた繊細な柱脚。見通しの良いこの斜張橋は、パリとバルセロナを直接結ぶ高速道路のネットワークを結びつけるとともに、この地域の重要な景観資産となっています。
写真が分かりにくいかもしれませんが、赤い屋根の集落、自然景観に調和する、美しい社会インフラが実現されています。
できることを駆使し、更に挑戦し、高いものを目指し続けること。
「建築とは価値観の表現である」ノーマン・フォスターのこの言葉がよく分かりました。
大きな刺激を受けました。