杭データ偽装問題

連日、全国各地で杭データの偽装案件が出つつあります。

 

三井不動産、三井住友建設、旭化成と大手企業の高い壁を突き崩し、よくここまで来たものだという気もしますが、引き起こした当の本人たちは最終的に誰の責任にしようかと水面下で躍起になっているかもしれません。業界体質、契約上の問題等、以前起きた鉄筋不足の耐震偽装問題でも同じような流れになった気がします。

 

基礎や見え隠れの部分は作る方にとっても使う方にとってもちゃんと行われていないと影響が大きいので細心の注意を払いたいところ。

 

不安があるけどまあ大丈夫だろう。ではなく、

不安なら、安全側に確認できるまでやりきっておこう。が自分のポリシー。

だからしつこいくらい現場を見に行くし、検査でも時間をかける。

 

「たぶん」とか、「おそらく」という言葉が出るようなら、やらない。

目で見たものしか信じない。必要ならお金と時間をかける。

 

単純ですが、そうしてます。

 

昔数千㎡の鉄骨造の工場を建設している時に、基礎の配筋検査で地梁の上の立ち上がり壁の差筋が入っていなかったので注意して施工を指示したことがありました。

 

「時間がないのでコンクリートを打った後に「田植」じゃ駄目ですか?」

「は?田植?何で?」

「・・・。」

 

ドロドロのコンクリートに後から差し込み、一緒に固まらせようとのことだが、それでは地梁の配筋と緊結できないし、施工精度や付着力の保証もできない。そもそも新築なんだから、極わずかの手間を省かずにできる時にできることをちゃんとやれというもの。

 

もちろん許可しませんでしたが、全体的にはいい人だっただけに、そんな言葉がさらっと出てきて残念で一気に軽蔑してしまったし、今後は適正な距離を取ろうと自分を戒めたものでした。

 

そして二週間後、今度は柱のあるはずのない場所に柱の基礎が立派に立ち上がっていました。

もちろん我慢強く丁寧に修正を指示しました。

 

大きな建設会社であっても人間がやることだからミスはあるし、楽もしたがる。

そんな時に監理者がスタンスをきちんとしていないと、一事が万事になり、変な流れに飲み込まれていってしまいます。

 

そうしないよう、そうした疑いを持たれないよう、お互い正々堂々と気持ちよく仕事をやりぬいた先に良い建築ができるし、人に自慢もできるというもの。


10年以上経った今、あの時の目が脳裏をよぎります。