7月7日、新国立競技場建設について日本スポーツ振興センター(JSC)が有識者会議を開き、総工費2520億円、収容人数8万人となる整備計画案が了承された。
基本設計時の総工費1625億円から895億円増えたこと、完成後50年間の大規模改修費が1000億円以上になる試算が判明したことで、本計画は大きな非難を浴びている。
新聞各紙の論調としては、
朝日:公共事業として失格だ。見切り発車は禍根を残す。
毎日:納得できぬ見切り発車。
読売:工費圧縮へ設計から出直せ。
日経:納得しがたい新競技場の工費。
産経:混乱収集へ首相の出番だ。
と、混乱ぶりも甚だしい。
実際この金額が高いか安いか、過去に世界で行われた五輪のメーンスタジアムの総工費と比べて見てみると、
2020年 東京五輪 :2520億円/8万人
2012年 ロンドン五輪: 930億円/8万人
2008年 北京五輪 : 510億円/9万人
2004年 アテネ五輪 : 210億円/7万人
2000年 シドニー五輪: 550億円/11万人
となっている。
もちろん周辺整備をどこまで含むかもあるし、東京での建設工事は土地が狭く難しいということもある。キール構造云々というより、稼ぎ時だといって色々理由をつけて減額しない施工者の問題もある。けれど同じように物価が高いロンドンでもこのくらいじゃないか!ということで、数字だけが悪者になってひとり歩きしている。
建築界でも、この計画に反対している人達が、ずっと活動し続けてきた。真面目に景観を考える人もいた。要は自分が設計したいんじゃないの?という人もいた(笑)
昨日の会議では、ロクに意見らしい意見が出なかったという。舛添知事ですら意見を出せない。
当たり前だ、所詮素人。財源確保を話す程度が関の山だ。
しかしそれで心から納得する人はいない。
やはり建築家がしっかりと語るしかないと私は思う。
首相が出ようと何だろうと素人は素人なんだ。
審査委員長の安藤さんが欠席したことは本当に残念だった。もちろん矢面に立たされたことだろう。他の審査委員も巻き添えになっただろう。出るなとも言われたことだろう。
けれどその人達の体面の問題ではない。東大閥の反対している人達を説得するためでもない。どういうことを考えて、どういう未来をつくるために選択してきたか、そこの所を建築家として責任を持って生の声で国民に語りかけて欲しいのだ。じゃないと気持ちよく準備ができないのだ。
五輪スポンサーとなるゴールドパートナーがどんどん決まる日本。結局金はある。
でもそれだけじゃあない。国民はそこだけを見ているのではない。
建築家は逃げてはいけない。
最後はプロフェッショナルが全身全霊を持って語り、そして率いる。
それでしか解決しないと私は思う。