最近、ナインハーフという映画を見ました。
今から30年くらい前に製作された、ニューヨークを舞台にした映画です。
画廊に勤める女が謎の男と出会い、だんだん倒錯した愛の形となり、最後は女がついていけなくなり去る
というストーリーですが(ネタバレはもう時効かな)、カメラワークがとても秀逸でモダンでした。
ミッキー・ロークの甘くザラッとした雰囲気に、離婚したばかりのキム・ベイシンガーがのめり込んでいく様子を、
街のいろいろな雰囲気を上手く使ったピクチャーフレームにキッチリはめ込んで紡いでいく手法です。
街角と路地裏、水辺と高層マンション。表と裏、昼と夜、賑わいと孤独・・・。
名前は知っていたのに何で今まで見なかったのかな。
タイミングってやつですかね。
そういえばこの頃製作されたニューヨークを舞台にした映画といえば、ウォール街が有名ですね。
マイケル・ダグラス。チャーリー・シーン。オリバー・ストーン監督が描く、若い野心と冷酷な欲望の世界。
これはもう強烈な印象があり、思春期を迎えた八木少年の心はものの見事に鷲掴みにされたものです。
実際その後ニューヨークに行った時に証券取引所まで行っちゃいましたから(笑)
今思えば、携帯電話やSNSなどのコミュニケーションツールが発達してない時の映画のほうが、
ロケ場所の選択や目線の追い方がデリケートで、心理描写のメタファーが工夫されていたのかもしれない。
つながりすぎない方がミステリアスな想像力が湧きますしね。
みんなといっしょになりきれない自分としては、こちらの方が好きですね。