軽井沢本通りを挟んで、ギャラリー桜の木にやって来ました。
1.5階程度の高さの可愛らしい建物。この開口部のデザイン、一時期建築学生達がこぞって真似していたことも・・・。2007年完成、設計は中村拓志さんです。
この建物を見たかった理由は、小部屋をたくさん設け、壁を極力薄くした木造であるということ。そして開口部が連続しておもしろいパースペクティブを体感できる。で、あろうと以前雑誌を読んでから思っていたから。
築7年ともなると、木の外壁も塗装拭き取り仕上げを施しておいても焼けてうっすらグレーになってきます。
でもこれ、自然なことなので私は全然ありだと思っています。
もし木の素地で仕上げた場合で、ホコリが付着して汚れたと思った方は試しにデッキブラシでこすって見て下さい。驚くほど落ちますから。所詮自然の世界で自然素材を使って起きたこと、気にしすぎないのが自然です。
スタッフの方にお話を伺うと、「生活の中の美術」をコンセプトにしており、それなら様々なシーンで提案できるようにと小部屋をたくさんつなげたプランが中村さんから出てきたとか。
小部屋の仕上げも、それぞれ違っています。
木の壁に和紙を貼った部屋もあれば、パンティストッキングのようなガーゼを貼った部屋もあり・・・。
中村さん自身で言っていたガーリーさがあちこちと。
ちなみに右の写真の上の小窓4つは空調吹き出し口。
設備が見えちゃうと雰囲気ぶち壊しですからね。可愛くこだわってます。とは言っても、小部屋が多くタレ壁で仕切られちゃうのでなかなか空調の効きが悪いのが悩みの種だとか。
でも皆さんこの建物をすごく気に入っているようで、こっちも見て下さいこっちもとノリノリ。チャーミングな人なんです。
建築を好きな人を見ると嬉しくなっちゃいますね。
いつか自分のお客さんが絵を欲しいって行ったら、ここに連れて来ちゃおうかな(笑)
ま~、しっかしよく降る雨ですな~。
標高の高い軽井沢、寒くなってきちゃいました・・・。
なんか暖かいもの食べたい!お腹に入れたい!
確か担々麺があったはず!
という願望とおぼろげな記憶を頼りに、星野エリアのハルニレテラスへ。2009年完成。設計は東利恵さんです。
近年ではランドスケープ専門のオンサイト計画事務所と組んだり、リゾート運営の達人として星野リゾートさんの事業も大きく飛躍しました。今では全国展開ですが、発祥はこの地で100年前に開いた「星野温泉」が元祖とのこと。
さて川沿いの緑道を通り「森に浮かぶ小さな都市広場」へ。連続するデッキに面し、いくつかの棟がランダムに配置されています。
私もお店を探してブラブラと・・・。コーヒーにパン、家具にセレクトショップとひと通りのおしゃれショップ。
そしてお目当ての担々麺はというと・・・、は~温まる。うまし。
さて、落ち着いたところでまだ少しだけ時間がある。
せっかくだからとテラスのお店に頼んで送迎バスを呼んでもらって、すぐそばのホテルブレストンコートへ。
そう、お目当ては石の教会です。
ちょうど今現在挙式が行われているとのことで、見えるとこだけ、可能な限りの見学。でもなんとか見させてくれようとするところ、ここのスタッフの方ってエライなあと思います。普通にべもないとこ多いですからね。
さて、アプローチから石造り。
凄い、気の遠くなるような石積み・・・。
これはいったい、いつ?誰が?ってかどうやって?
もしや戦前とかに土着的宗教かなんかで大人数でなかば奴隷的にやらされたのでは・・・、なんて変なイメージがよぎるほど唖然とする工作物。そもそも教会の構造はコンクリートということでいいんでしょうか。
で、調べてみました。
なんと完成は1988年バブル真っ盛りじゃないですか!でもこの時代に超オーガニック建築・・・?
いやこんな景気のいい時代だからこそ、これだけ手間とお金がかかることをやれたというべきか(笑)
設計はアメリカのカリフォルニアの建築家、ケンドリック・ケロッグ氏。UCバークレーなどで建築を学び、自然との調和や地形の特徴を活かした作品を生み出しているそうですが・・・、もうね、軽井沢の土地から生えてるみたい。
土地の起伏をそのまま利用しているから、移動重心も低いです。外観上基本全て石ですから、思ったより威圧感のようなものも感じます。一般の人の中では、もしかしたら好き嫌いが別れるかもしれません。
ただ、これはこれで有り。
だって建築をやってるカップルで遠くからわざわざここに来て結婚式を挙げる人たくさんいますからね。
残念ながら中は地下から階段を覗くことが精一杯。
一階は次回のお楽しみとなりました。
さて、今回のツアー記事はこれで終了です。一ヶ月もお付き合い下さりありがとうございました。
これ以外に見たものもありますが、タリアセンとか私の趣味に合わないものは割愛します(笑)
今度は千住博美術館なんかも見たいですね。
ところで。
私はこうして自分が見た建築の感想なんかもブログに書いていますが、建築家の中には、自分の作品以外は歴史的なものやよほどのものじゃなければ登場させないという人もいます。
作り手として気持ちも分かるし、営業戦略上目移りされても困るのでしょう。
ですが私は昔、演劇をやっていた頃、よく見に来てくれた人に「八木君の作品以外に、他におすすめの演劇とかある?」と聞かれたことがあり、その時は「なんだ失礼な!」とカチンと来たけれど、後になってから、そうかこの目を通しての評価を純粋に知りたいということか、と思い至ったことがあります。
なので、もちろん自分の作品を思う存分語れれば一番ですが、見たもの感じたものについても、出来る限りこだわらず、オープンな気持ちで書いていこうと思っています。
自分の勉強でもありますが、せっかく好きな建築なんですから、共有してもらえたら嬉しいですしね。
そんなスタンス、この機会にちょっとだけお伝えさせていただきました。
今後共どうぞよろしくお願いします。