ツアー1日目の午後、雨の中、軽井沢の三笠に到着。東京藝術大学名誉教授の益子義弘先生が設計した三笠の山荘を見学させていただきました。益子先生のご厚意で、現地でご自身による解説までして下さいました。
この山荘は元々企業の保養所として、グループや家族、仲間内で気軽に利用できるような施設として計画されました。
緩い勾配にカエデの大樹が茂るエリアには、テラスを廻らした長い平屋建ての建物がゆったりと横たわり、北側の高低差のあるエリアには、半地下を持つ立体的な建物が配置されています。
木立が生い茂る広い敷地の中で、大きな一棟とせずあえて二棟に分けることで、利用形態と環境に配慮した施設になっていますね。
雨の中ですが、二棟の距離感がとても気持ちいい状態であることはすぐ分かりました。
立面的にも、壁面が木々の間にそびえ立つこと無く、出来る限り軒を落として屋根がそっとかかっているように配慮したとのこと。
各棟共にロフトを設けた、8寸勾配の屋根が秀逸でした。
この作品を初めて拝見して一番最初に思ったことは色気があるということです。
もちろんそれはいやらしさとかいうものではなくて、上品で女性的な、落ち着いた中で感じる優しさや華やぎのような感じです。ちょっとべた褒めでしょうか(笑)
でも、大好きになりました。正直に。
目に入るシーンが連続して動画として美しいのです。
軽井沢の気候条件として、冬はとても寒く、また夏は意外と湿気も多く蚊だって出ます。
風除室を設けたり、障子や戸フスマ、熱効率を上げるための大きすぎない広間や暖炉、コンパクトな寝室に湿気対策の空気循環など、芸大の先生だからといって変にこだわること無く、極めて合理的に空間をさばきながらも、木や漆喰、石という自然素材でここまでできるのかと本当に勉強になりました。
造り付け家具の設え、階段のディテール、手作り照明など、ひとつひとつの要素を紡ぐことの大切さを感じました。
益子先生の人柄も本当に素敵で、この夜は遅くまで一緒に飲み語らってしまいました(笑)