洋館めぐりの最後は、静岡英和女学院礼拝堂へ。
特別に卒業生のオルガニストである福井香さんのパイプオルガンコンサートも開いていただきました。
小柄な彼女からは想像もできないような大迫力で深い音色。
失礼ですがこの体でこの装置を操るということにスケールギャップも感じてしまいましたが、
ちょっとした湿度で音質も変わるようで、チューニングも念入りでした。
福井さんはフェリス女学院に進んで更に研鑽を積んだようですが、この道を進むにはこの巨大な装置があるところに行くしかありませんね。素晴らしい時間でした。
残念ながらヴォーリズが設計した旧校舎は太平洋戦争の空襲で焼けてしまい残っていません。
昔の写真を見せていただきましたが、残っていたら歴史的文化財になったであろう建築でした。
現在の礼拝堂は、ヴォーリズの死後に一粒社ヴォーリズ建築事務所のお弟子さんたちが設計したものです。
学校と設計事務所との長い長いお付き合いですね。
ところでなぜ一粒社というと・・・。
アメリカ生まれのヴォーリスの奥さんが日本の一柳(ひとつやなぎ)子爵のご令嬢でして、日米対立が激化し戦争が近づく中でヴォーリズは日本を離れず帰化することを選択。
一柳米来留(ひとつやなぎめれる)と名乗り、ヴォーリズ建築事務所も一柳建築事務所と改称しました。
戦時体制の影響で2年後には事務所を解散することになりますが、1961年に一粒社ヴォーリズ建築事務所として事務所を設立。柳と粒をりゅうの読みでかけたんですかね。勝手な憶測です(笑)
いずれにせよ建物に歴史があるように、それに関わった建築家の人生にも様々なドラマがありました。
正規の建築教育を受けなかったヴォーリズでしたが、彼の人生で起こる全てのことを受け入れながら自分らしく歩み続けることで、本当の建築家になっていったのでしょう。
洋館めぐりの記事はこれで終わりです。
関係者の方々のご厚意、建築をおもう心に御礼申し上げます。