日本建築家協会

昨日は日本建築家協会東海支部静岡地域会(JIA静岡)の総会と講演会に出席してきました。今年度より入会し、こちらでも活動をして参ります。

 

建築家としてのスタンスを大切に、自分の仕事や職能を通してより一層社会に貢献していくことができるよう頑張ります。懇親会では会の皆さんに温かく迎えていただき、また新しい出会いもあり、今後が楽しみです。

 

同時に、現代日本を代表する構造設計者である金箱温春先生の講演会が行われました。実直で分かりやすい解説でぐいぐいと引き込まれ、あっという間の一時間半でした。

 

紹介しますと、

 

建築デザインが空間や形やテクスチャーなどの「イメージ」を決める行為だとしたら、構造デザインは架構や材料や力学を解き「具現化」すること。

 

それには両者の密接な関係が必要ですが、氏の考える構造デザインとは「空間の質を満たすように最大の効率を持つ架構を最適な材料で構成すること」というシンプルなものです。

そもそも建築は他の工業製品と違い、不確定な自然現象を相手にした個別性が高い一品生産です。

しかし現在の法としての技術規定は標準的な建物を前提に作られているため、設計の全てを基準で網羅することは不可能です。

 

裁量性が必要な行為にもかかわらず、確認申請時の構造計算適合判定で硬直的な判断を一方的に下す判定員の存在や専門家どうしの議論ができない問題も指摘します。

 

よりよい法制度の構築や改善と共に、構造設計の可能性は一体どこにあるのだろうか。

 

それは「普遍性と個別性」と、氏は語ります。

 

科学や工学の普遍性を前提としつつ、建築デザインを生かす個別的な合理性が必要であり、技術や力学原理など普遍化されるものには限界があるが、個別性には無限の可能性がある。

 

建築は生き物の体の構造に似ていると思うことがありますが、この話を聞いて様々な生き物の進化の仕組みと共通するものを感じました。構造への興味が一段と深まったひと時でした。